工場にプリザンターを導入し、“紙”の生産管理から脱却
年間960時間の業務コストを削減し、情報共有も実現

  • Webデータベースを使って、紙ベースの旧態依然の生産管理をイノベーション
  • 純国産でオープンソース、癖が無くシンプルなUIが魅力のプリザンターを導入
  • 今後はQRコードを導入し、スマホなどで読み取るだけの工程管理を実現

今回インタビューさせていただいた有限会社海鴻社 平賀裕一郎社長

課題

紙の生産管理では情報共有が困難で生産性も落ちる
営業社員の案件情報を工場で再入力する無駄も発生

 有限会社海鴻社は、半世紀以上にわたり印刷業を営み、東京の下町に2拠点の工場を構える、従業員23人の老舗印刷会社です。近年、のぼり旗や横断幕の印刷・製作事業が好調で、こうした特殊印刷で差別化し、業績を伸ばしています。
 一方、工場の課題は、紙ベースの生産工程管理で度々問題が生じ、限界を感じていたことです。これは、会社の規模の大小を問わず、日本の多くの企業が抱えている共通の問題と言えます。同社の平賀裕一郎社長はこう話します。「印刷は、出力、転写、仕上がりなど工程があり、注文内容を書いた紙の指示書を、その工程間でリレーする形で手渡して進めるのが従来の管理方法です。しかし、そのやり方では、今どれほどの案件があり、それぞれどの工程にあるのか、作業者が即座に確認、共有するのは困難。また、顧客から製作物が今どの工程にあるか問い合わせが入った際、工場中を走り回って“紙”を探しに行かねばならず、その都度作業が止まり、生産性が落ちる一因でした」。

一連の工程をプリザンターで一元管理できるシステムを提案

 紙による生産管理は混乱の原因にもなります。繁忙期はスケジュール管理がより一層難しくなり、納品したか否かのチェックに手間取る事態が、年間数件発生していたのです。加えて、長年の取引先から「過去の注文と同じ物を製作してほしい」との依頼も何度かあり、その度に指示書を綴じたファイルから探す手間が生じます。
 また、営業社員が外回りで獲得した案件の情報を、工場の作業員がメールで受け取り、受発注システムに再度入力し直すという無駄も現場の負担に。「紙ベースや無駄から脱却し、顧客情報、受発注から生産工程管理まで、全てを効率的に一元管理できるデータベースシステムの導入が、喫緊の課題となっていたのです」(平賀社長)。

選定のポイント

条件は柔軟に改変でき、Webベースであること
プリザンターであれば全ての要望をクリアできる

 導入に向けて平賀社長が求めた条件は次の通りです。工場は製造する機械が入れ替わると、工程も変わります。それに合わせ、導入したデータベースシステムも改変が必要になりますが、スクラッチで構築した完全オーダーシステムであると、改変に時間が掛かることが想定され、まずはそうした変更にも柔軟に対応できるシステムが望ましいと考えました。さらに、営業社員はずっと外に出ているため「外部からアクセス可能」なこと、作業現場はMac、営業はWindowsのPCを使用しているため「OSに依存しないシステム」であること、あるいはユーザー側で「ソフトを更新する手間がないこと」なども重要なポイント。それらの事項をクリアするためには、“Webサービス”であることが必須となります。
 そうした条件を念頭に探索した結果、最有力の選択肢として浮上したのが、様々な業務アプリを簡単に作成できるWebデータベース「プリザンター」です。「Webデータベースのプラットフォームは数社が提供していますが、その中でプリザンターは、オープンソースであり、純国産であることが特徴。コストを抑えながら当初から十分な機能を安心して使える上、生産工程に変更が生じた場合も、扱いやすいオープンソースを改変し、柔軟かつ迅速にカスタマイズできる点が魅力です。そして、ユーザーインターフェース(UI)は癖が無くシンプルで、誰でも無理無く使い始めることができる点も、現場での導入を考えた場合の利点でした」(平賀社長)。
 加えて、プリザンターの有利な点は、導入を支援する認定パートナーが数多く存在することです。認定パートナーはそれぞれの強みを活かし、相談に乗り、使い方を提案したり、導入先のニーズや事情に合わせてプリザンターをカスタマイズする役割を担います。

プリザンターを使った、海鴻社の生産管理システム

 今回、開発を担当した認定パートナー企業であるシステム会社「株式会社リーデックス」の担当者は、「海鴻社が求める工場の生産管理や顧客管理は、プリザンターだけで全て行えると判断。同社は既存の販売管理システムとの統合を視野に入れており、その点でも連携や拡張性が高いプリザンターの優位性が発揮できるのは間違いないと伝え、導入を進言した」と話します。

導入と効果

認定パートナーの支援を受け、臨機応変にカスタマイズ
工場では月80時間、年間960時間の業務コストを削減

 導入では、リーデックスが海鴻社から課題と要望を詳細にヒアリングし、解決策の提案と実装を進めていきます。プリザンターは予め用意されている様々な標準機能を用い、ユーザー自身で設定して使うこともできますが、一画面に表示できる項目を増やし一覧性を高めたり、顧客マスターとの連携、プルダウンや選択式メニューの作成など、UIの最適化には、一定の知識や技術が必要です。「見た目の微調整、データのリレーショナルなどはエンジニアでないと難しく、リーデックスなどシステム会社に任せるのが得策です。加えて、外部システムとの連携、稼働後のサポート、相談など、様々な場面で認定パートナーに頼れることは心強いと考えています」(平賀社長)。導入後、現場からの意見、要望をリーデックスに伝え、新しい機能の追加や変更を加えるといった臨機応変なカスタマイズも実施。「こうして使いながら機能を付け足し、改良を加えることができる柔軟性が、プリザンターの良いところ」と、リーデックスは評価します。
 導入効果は明確に表れています。営業社員は外出先で案件が発生した場合、タブレットやPCを使ってプリザンターに直接、案件内容を入力。工場ではその内容をPC上で確認し、作業を進めながら、今どの工程にあるか、納品されたか否かを、プリザンターに入力しています。顧客情報から注文内容、案件のステイタス(現状)、作業担当者情報まで一元管理され、生産管理に関する情報共有がプラットフォーム上で行える体制が整ったのです。
 結果、営業社員がメールで送付した案件情報を工場の作業員が転記する手間はなくなり、営業社員自身もWebデータベースに直接入力し、一覧性、検索性が高くなることで、効率的な案件管理が実現しています。「工場の作業者、営業社員一人当たり、少なくとも月20時間、年間240時間の業務コスト削減効果があると見ています。工場は4人体制なので、計月80時間、年間960時間もの負担軽減につながります」(平賀社長)。

工場の現場では、タブレットを使って工程ごとにステイタスの終了状況を入力

 また、平賀社長が驚いたのが、新しいシステムにも関わらず、現場が抵抗なく使えるようになったこと。「一般的に、新規システムは現場への浸透が課題ですが、プリザンターは自然に馴染んだ。シンプルで使いやすい点が現場の負荷を減らし、スムーズな導入に成功したと考えています」。

今後の展開

次はQRコードを導入し、生産管理をより進化させる
プリザンダーは小さく始めて、大規模化できるのが利点

 プリザンターによる生産管理改革は、今後次のフェーズに移行します。まず、既存の受発注システムと連携を図り、プリザンターへの情報の集約を推進。その後は、工場の作業者の利便性向上のため、工程ごとにQRコードを発行して現場に貼り付け、スマートフォンやタブレットPC、あるいはコードリーダー端末で読み取ることで、プリザンターにリアルタイムでステイタスが入力される機能を搭載する計画で試作が進められており、今後の本格導入に向けて調整を行っています。「QRコードを導入すれば、いちいちPCなどを立ち上げてプリザンターに入力する労力が省け、現場の生産性は上がり、ステイタスの情報共有も容易になる」と、平賀社長は話します。

次のフェーズではQRコードを活用して生産性の向上を目指す

 さらに先に見据えるのが、紙のファイルで管理されている過去の案件情報をデジタル化し、プリザンターに集約すること。現在の案件から過去の案件まで、図面、作業書、納品書なども含めて、全てプリザンターで業務管理を完結させるのが目標です。「プリザンターは、できることからスモールスタートし、一歩一歩スケールできる点がポイント。我々のような中小企業に限らず、大企業でも同様に小さく始めて、改良しながら大規模化を図ることができ、その点もメリットでしょう」(平賀社長)。
 
 

企業名 有限会社海鴻社
所在地 東京都葛飾区西新小岩5-16-19
設立 1971(昭和46)年5月(創業1964(昭和39)年)
資本金 500万円
事業内容 殊印刷を強みに、ノベルティグッズなど立体物に印刷するタンポ印刷及び原版製作やデジタルプリントを手掛ける本社工場、オリジナルののぼり旗、横断幕、懸垂幕を印刷・製作する第2工場の2拠点で事業を展開。
この事例の開発パートナー

株式会社リーデックス
実務ですぐに利用できることに重点を置き、システム構築・業務改善について、相談・開発サポートを行っています。テレビ会議での対面開発や、短期間でのスクリプト開発、実務向けトレーニングなど、プリザンターの導入から運用までサービスをご提供いたします。弊社プリザンターブログでは最新情報や技術的な情報を発信しています。


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