プリザンターと、地元島根が推進するRubyを連携させたシステムを内製化
勉強会・イベントに参画し、事例共有やコミュニティの発展に貢献

IT・技術部IT推進課 課長
松林 幸男 様(左)
IT・技術部IT推進課
糸賀 優樹 様(右)
  • SaaS製品は機能の不足や自社の業務に合わない部分があり、補完するためのシステム内製化が必要
  • プリザンターを基幹システム、SaaS製品と連携し、システムをつなぐ鍵となる言語は“Ruby”
  • 熱量が高いユーザーコミュニティに積極的に参画し、自らも事例を発表して発展に貢献する存在へ

課題:基幹システム、既製品に加え、業務を補完する内製化システムが必要
無料で作って現物を提示できるプリザンターは社内理解を得やすい

松江土建は、島根県松江市を中心に建築工事、土木工事を手掛ける総合建設会社です。松江市は純国産プログラミング言語「Ruby(ルビー)」の開発者である、まつもとゆきひろ氏が活動拠点を設けており、街を挙げて同言語を核に地域・産業振興を推進していることでも知られています。
 そうした街で地元密着で事業を展開する松江土建に中途採用で入社したのが、現在同社IT・技術部IT推進課に在籍する糸賀優樹氏です。糸賀氏は同社の情報システム部門であるIT・技術部で業務を行うに当たり、問題だと感じたことについて、次のように話します。「社内の情報基盤を整えるには、基幹システム、既製品に加え、それらの間を取り持ったり、補完したりするシステムの内製も必要です。しかし、同社には内製化に活用できるツールが整備されていなかったのです。Excelだけでは不十分であり、検討が必要な状況でした。 有名なノーコード・ローコードツールは、1ユーザーごとに課金が発生するため、コストがかさみやすい点が課題でした。私自身、中途入社して間もないこともあり、社内の理解を得るハードルも高く、導入には難しさを感じていました」
 コストがかからず、効果を発揮できるツールはないものか。そうした観点で調べる中、探し当てたツールがプリザンターだったのです。「無料で利用できることが最大の利点でした。無料で使えるということは、まずは形にしてみることができるということ。実際に動くシステムを作って提案することで、社員は実際に使って利便性を体感でき、説得力が増すわけです。こうしたツールは口頭で説明しても今一つピンとこないものですが、プリザンターであれば現物を提供することができ、社内の理解も得られやすいのではないかと考えました」(糸賀氏)

システムの初構築:電子契約と書面契約が混在し、社内の非効率な検索業務が問題化
プリザンターとSaaS製品、基幹システムを“Ruby”で連携し解決

システム構成図
Rubyで構築したシステムを仲介することでプリザンターと連携

内製化ツールとしてプリザンターの採用を検討する中、最初に実装に向けて構築を始めたのが、工事下請基本契約書を効率的に検索する業務アプリです。当時、同社では契約書の電子化に向け、SaaS製品を導入するプロジェクトを推進していました。しかし、100%電子化は難しく、一部で書面の契約も残ってしまうため、電子契約と書面契約が社内業務として共存することになります。その場合、社員は契約書を確認する際、電子と書面のどちらで契約したのかが不明な中、それぞれのデータベースを検索するなど非効率な業務を強いられてしまいます。「SaaS製品では、不足する機能や自社の業務に合わない部分が生じるものであり、それを補完するシステムの内製化が不可欠になる」と、糸賀氏は言います。
 そうした中、導入したのが、電子契約のSaaS製品と基幹システムをプリザンターと連携し、電子と書面の契約を一括検索できる業務アプリです。書面契約はPDF化してプリザンターにアップロードし、電子契約はSaaS製品から、取引先のマスター情報は基幹システムからそれぞれプリザンターに自動取得できる仕組みを構築しました。この仕組みにより、社員はプリザンター上で社名などを入力して検索すると、電子、書面の形態に関わらず、一発で契約書を取得できるようになり、業務効率アップを図れるようになったのです。
 そして、システムを構築する上で糸賀氏がこだわったのは、松江市が地域・産業振興の核のひとつとして位置づけているRubyを、システム間連携に活用することでした。「Rubyは優れた言語であり、社内システムの構築にも十分に活用できます。そのRubyを採用することで、建設業という本業に加えて、システム開発の面でも地元に貢献する姿勢を示したいという思いがありました」(糸賀氏)。
 こうして、プリザンターに加え、地元が推進するRubyを組み合わせることで、同社は業務改善を目的としたシステム内製化の第一歩を踏み出すことに成功したのです。

システムの導入:リース契約管理、ルーター管理、許認可管理…続々とプリザンター化
Excel帳票のテンプレート生成にも活用し、“秘伝のたれ”を解消へ

プリザンター画面例
常に最新のテンプレートをプリザンターから取得できる

システム内製化のスタートを切った同社は、その後もプリザンターを活用した業務アプリの開発にまい進していきます。取り組んだのが「脱Excel」での活用です。例えば、情シス部門では、パソコンなどのリース契約をプリザンターの期限付きテーブル機能で管理しています。紙の契約書をPDF化してアップロードし、リース期限が一目で分かるシステムとして利用しています。
 また、それぞれの工事現場の事務所でネット接続するために使うルーターの管理でもプリザンターが活躍しています。数十台のルーターの設定値をプリザンターに記録し、新しいルーターに交換する際はその設定値をコピー&ペーストするだけですぐに使えるようにしています。パスワードはプリザンターの機能でアクセス制御し、管理者のみに表示される設定にするなど、業務に合わせて工夫も行っています。
 こうしてプリザンター活用の取り組みが社内に広まり、他部署から相談を受ける機会も徐々に増えてきているそうです。総務部から寄せられた案件もその1つ。同社では、建設業許可、建築士事務所登録、派遣業許可など更新を行う必要がある許認可が多数に上り、特定の部署が手続きを担うことになっています。ただし、総務部としては抜け漏れがないか把握する責任があり、多くの部署が関係する中、Excelによる管理に限界を感じていました。そこで、プリザンターで更新の有無や期限が可視化できるようにして、管理体制を強化したのです。今後は期限が迫ると社内のチャットツールにアラートが通知できるように進化させることも想定しています。
 一方、使い慣れたExcel帳票のテンプレートの生成にプリザンターを利用する取り組みも行っています。従来、そのテンプレートは社員自らが自分の判断で個別に更新してしまい、それぞれが異なるテンプレートを所有することが常態化していました。そうした事態の解消に向けて取り組んだのが、RubyによるAPI連携で基幹システムから最新のマスター情報を取得し、プリザンター上のExcel帳票に常時反映して提供することです。社員はプリザンター上のボタンを押すと、常に情報が更新された最新版のテンプレートを入手することができます。
 その導入効果について、糸賀氏の上長であるIT・技術部IT推進課の松林幸男課長はこう話します。「これまでは各社員が自分独自の“秘伝のたれ”のようなテンプレートを作ってしまっていた状況。これでは取引先の重要な変更点や法改正などが反映されない可能性があります。プリザンターによって社内共通のテンプレートが提供できるようになり、長年の懸案が解消されたと考えています」

今後の展望:プリザンターの活用を加速し、認定パートナーの委託開発も視野に
大型イベントやファンの集いにも参加し、コミュニティで貢献する

「Pleasanter Festa!」発表の表紙(クリックで動画へ移動)
「Pleasanter Festa!」で自社事例を発表(クリックで動画へ移動)

同社では今後もプリザンターの活用を加速させていく方針です。その1つが、天気情報の有料サービスを利用する際のパスワードを、アクセス制限によって社員のIDに紐づけて個別表示することです。「今までであれば、どのように提供するか頭を悩ましていたことも、プリザンターを使えば簡単に実現できます」(糸賀氏)。予想される業務アプリの増大に対処するため、プリザンターのインプリム認定パートナーに開発を委託することも視野に入れています。
 そして、今後さらに注力しようと考えているのが、プリザンターのコミュニティへの参画です。糸賀氏は、プリザンター初の大型オンラインイベント「Pleasanter Festa!」で登壇して自社事例を発表し、プリザンターファンの集いである「Pleasanter User Meetup」にも参加しています。「プリザンターは、ユーザーがブログなどを通じて積極的に情報を発信し、勉強会やセミナーで交流が活発なことが魅力。数あるOSSの中でもユーザーの皆さんが群を抜いてアクティブだと思います。そうした情報やノウハウの共有があるからこそ、私もそれらを参考にゼロからシステムの内製化を行うことができたと考えています。
自分も情報提供されているユーザーの方々のように、少しでも役立つことができればという思いでオンラインイベントに登壇しました。これからもコミュニティへの関わりを深め、貢献できればと思っています」


松江土建株式会社
松江土建株式会社
企業名
松江土建株式会社 ホームページ
所在地
島根県松江市学園南2-3-5
設立
1944年5月9日
資本金
3億円
事業
地元の島根県を中心に、学校や病院、事務所ビル、集合住宅、店舗などの建築工事、道路、河川、橋梁、トンネルなどの土木工事を施工。ダム湖の水質浄化技術の開発と実施のほか、アミューズメント施設としてボウリング場も運営し、地域社会に貢献。従業員数196名(男性168名、女性28名、2024年9月末時点)
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