- 紙で行っていた各種の申請業務、交通費や消耗品の精算、勤怠管理をプリザンターに置き換え
- プロジェクトの各メンバーの稼働状況をリアルタイムで一元管理し、損益管理や要員計画に活用
- プリザンターを会計システムや外部システムともAPI連携して、顧客のDXをリーズナブルに実現
課題:紙やExcelによる勤怠管理で社員や総務部担当者に二重三重の手間
プロジェクトの損益管理ではタイムラグが生じて現状把握に支障
大手SI会社から受託開発の案件を多数受注し、金融や証券、保険関連のシステム開発の実績、知見、ノウハウが豊富なITベンダーがシステムメイクです。直近ではAWSを基盤としたシステム開発やノーコード・ローコードツールの開発に注力し、プリザンターの認定パートナーとして年間サポートサービス、トレーニング、導入支援、 テクニカルコンサルなど各種サービスを提供しています。
数年前、同社では自社の業務効率化を推進するために適したツールを探索していました。そうした中、インターネットを検索して探り当てたのがプリザンターです。「様々な業務アプリを作ることができ、自由度が高い点が魅力。無料で使えるため、始めるハードルが低いことも評価したポイントでした」と、技術推進部の渡邉氏は話します。
プリザンターを使って最初に着手したのが紙やExcelで管理していた業務の効率化です。従来、残業や有給の申請、遅刻・早退の届け出などの勤怠管理は、Excelで作成したフォーマットを印刷し、社員が書き入れていました。社員は受託開発の発注先に常駐するケースが大半ですが、その紙の帳票を提出するために、わざわざ自社に出向き、総務部に提出する手間もかかっていました。それらの帳票の内容は総務部の担当者がExcelに入力する必要があり、二重三重の無駄な業務が生じ、非効率な働き方を余儀なくされていたのです。
一方、プロジェクトの損益管理にも課題がありました。当時、各案件に参画するメンバーは自分の作業内容の稼働状況をExcelに入力し、それらをリーダーが定期的に集計していました。しかし、メンバーが状況を報告するタイミングが不統一で、集計にも手間取り、現状把握にタイムラグが発生して損益管理に支障をきたしていたのです。
システムの導入と効果:勤怠アプリとプリザンターの活用で、社員の業務効率化を達成
タイムリーな損益管理が実現し、ビジネスの精度の向上に寄与
そこで、まずは勤怠管理で紙とExcelを廃止し、プリザンターによる一元管理に切り替えたのです。それによって社員は申請書類の提出のための出社が不要になり、それだけでも業務の効率化が一気に進みました。ただし、問題は常駐先の会社の社内ネットワークからプリザンターへのアクセスがセキュリティの関係でできない場合があること。その対策として同社が試みたのが、スマートフォン用のタイムレコーダー(勤怠管理)アプリを自ら開発することです。アプリに入力されたデータがプリザンターにAPI連携され、データベースに記録される構成になっています。「必要な機能やツールは自分たちで開発するのが当社の方針。それだけの知識と技術を持っているのが強み」と、同社代表取締役の峯田真二氏は言います。こうしてネットワークの制約を超えて、外出先から勤怠の報告ができる仕組みが整ったのです。「同業他社でもそれ以外の企業でも、いまだに勤怠をExcelで管理している会社は多いと思います。当社のようにプリザンターで管理することは非常に有効です」(峯田氏)
また、プロジェクトの損益管理に関しても、各メンバーがプリザンターに直接入力するシステムを導入。リーダーは、リアルタイムで状況把握が可能になり、工数・原価の計算や要員計画の立案、損益の予測、機動的な予算配分の変更が行いやすくなっています。「プロジェクトで遅延や損失が発生しないように、タイムリーに損益管理を行っていくことはシステム会社にとって非常に重要なこと。プリザンターによってそれが実現し、ビジネスの精度の向上に寄与していると考えています」(峯田氏)
システムの進化:社員が入力する入り口で論理的に正しいデータを入れることが重要
プリザンターを各システムにAPI連携して自動化・効率化を推進
システムメイクではプリザンターを活用して、ひとまず勤怠管理のオンライン化を達成しました。ただし、単にオンライン化しただけでは不十分だと技術推進部の武田氏は言います。「例えば、残業や有給休暇の申請が社員から行われたとします。しかし、総務部の担当者はそのまま受理する手続きはできません。その社員の残業申請は適正なのか、あるいは有給休暇は残っているのかなどを確認する必要があるからです。オンライン化はできたものの、総務の担当者はチェックをせねばならず負荷の軽減につながっていないのが実情でした」(武田氏)
その負担の解消につながったのが、プリザンターに実装されたサーバースクリプトと拡張SQLを用い、その申請が適正かどうかを社員が入力する時に自動的に判定する機能を追加したことです。これによって、社員の残業申請が適正でなかったり、有給休暇が残っていなかったりして、“論理的”に齟齬がある場合、エラーメッセージが出て、申請自体ができないシステムに進化できたのです。「総務部のチェックは不要となり、入力されたデータは全て論理的に正しいと判断してスルーすることが可能になっています。ITシステムの鉄則は、入り口のところで、間違ったデータを入れないことです。それができて初めて自動化や効率化が実現し、業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)が可能になるのです」(武田氏)
入り口で正しいデータが入れば、その後、そのデータはあらゆるシステムと連携して自動的に流すことができます。同社では、API連携によって、勤怠データをそのまま給与システムに流して計算し、給与明細を再びプリザンターに戻して、社員がいつでも確認できるようにしています。また、会計システムとのAPI連携も試行。プリザンターで交通費精算の申請があった場合、それを会計用に加工してデータを生成してエクスポートをかけ、会計システムにインポートする流れです。「以前は紙に印刷したプリザンターのデータを見ながら会計システムに入力していましたが、その作業がなくなり、自動化につながっています」(武田氏)。既存のシステムや業務アプリでこうした仕組みを構築すると高額になりますが、他のシステムとAPI連携しやすいプリザンターをベースにカスタマイズすれば価格を比較的抑えた導入が可能になります。これもプリザンターを軸にDX化を図るメリットです。
今後の展望:進化するプリザンターを使いこなすプロが顧客のDXをサポート
今まで培ってきた技術やノウハウを状況に合わせてカスタマイズ
同社では、プリザンターを使ってワークフローを作成するなど、今では社内業務の様々な効率化に活用しています。同社は持ち前の優れた技術を駆使し、ワークフローも早い段階からサーバースクリプトを使って構築しています。しかし、今ではプリザンターにプロセス機能が実装され、知識のあるエンジニアであれば、より簡単にノーコードでワークフローシステムを作れるようになっています。「プリザンター自体が年々進化し、業務アプリとしての使い勝手が飛躍的に向上しています。エンジニア向け、プロ向けの開発手段が充実してきている印象です。それを使いこなすには一定の知識や技術が必要で、我々のようなプリザンターを使って開発ができる業者の存在意義が高まっていると感じています」(峯田氏)。
そのため、自社でプリザンターがどのように使えるかの可能性を探るためにも、これまでは多種多様な業務アプリを積極果敢に作り、DXへの寄与度を推し量ってきました。今後はそうやって培ってきた知識やノウハウを、顧客向けに展開していくフェーズになると、峯田氏は捉えています。「最近は、政府が電子申請を進めており、社内のデータを外部とスムーズに連携するシステム作りもプリザンターで挑戦していきます。そうしてプリザンターと我々のITの知識や技術を掛け合わせ、社内外を問わず、便利な業務アプリを顧客の状況に合わせてカスタマイズし、提供していきたいと考えています」(峯田氏)