顧客問合せ対応における技師の事務負荷問題をプリザンターで解決
連携の強みを活かし社内のシームレスなデータ基盤構築やAI実装を加速

株式会社マキタ
執行役員 情報企画部 部長 高山 百合子 様(左)
情報企画部 GL 佐藤 功併 様(中央)
情報企画部 宮﨑 凌大 様(右)
  • 国内外顧客の問合せメール転記や添付ファイル保管にかかる事務作業負荷を大幅軽減
  • プリザンターとAIを連携させ、メールの要約・翻訳、ファイル保管を行うデータベースを構築
  • 「何でも内製化できる」可能性を見いだし、データ基盤への活用、AIやBIツールとの連携を加速

課題:顧客から毎日数十件届く問合せメールの転記や添付ファイルの保管に苦慮
年間で膨大な時間のロスが生じ、技師としてのコア業務にも悪影響

製造しているエンジン
製造しているエンジン

社内のデータ基盤をどう構築するか。どうしたらAIを業務に効果的に組み込めるか――。多くの会社が模索する中、プリザンターを活用して一つの答えにたどり着いた企業が、船舶用のディーゼルエンジンを製造・販売する株式会社マキタ(香川県高松市)です。瀬戸内・香川で明治末期に創業した100年企業で、現在、小口径2ストロークディーゼルエンジン市場で世界トップシェアを誇る、グローバルニッチな企業です。
 同社では、事業を推進する一方でITによる社内業務の生産性向上にも注力し、情報企画部の14名体制(2026年度)でけん引しています。彼らにエンジンメンテナンスの部門である試験グループから案件管理手法の相談が寄せられ、プリザンターで解決できるのではないかと考えたのが、同部グループリーダーの佐藤功併氏です。
 「試験グループは複数のチームに分かれています。国内外からエンジンの故障やメンテナンスに関する問い合わせが入りますが、先方が利用する連絡手段の多くはメールであり、チームそれぞれが日々数十件を受領します。案件の記録・進捗管理のために、受領した部門は問合せメールの内容をExcelに転記し、添付ファイルをクラウドストレージ(Box)に保存するのですが、その多くは動画や写真などであるために、容量は数十MBに及びます。作業のたびに数分を要し、手間と時間がかかりますが、受領側メールボックスの容量圧迫回避のためにも必須の作業であり、なんとかしてこの手間を減らせないかということが長年の課題でした」
 1回数分といえども、数十件となればまとまった“無駄な時間”となります。これがチームごとに発生しており、年間に換算すると膨大なロスになります。「技師本来のコア業務に使える時間がそれだけ削られているということです。これは看過できないと考え、早速改善策を検討しました」と、佐藤氏は当時の状況を振り返ります。

システムの選定・導入:プリザンターは無料、自由な読み取りと書き込み、SSO連携が利点
AI連携の自動翻訳・要約も組み入れ、定量・定性の両面で生産性向上

メール連携図
メール連携図

佐藤氏が有力視したのが、以前シンプルな事務で使用した経験がある、Webデータベース開発プラットフォームのプリザンターです。「まず、プリザンターは基本的に無料で利用開始できるツールであり、セルフホストすればサーバー費用のみで始められます。また、サイト単位でスクリプトを追加することで他のサービスとのAPI連携が可能であるなど、読み取りと書き込みを自由にできる点もメリットでした。つまりメールやAIなどさまざまなツールとの連携が比較的容易に実現できるというのが大きな魅力です」(佐藤氏)
 加えて決定打となったのが、自社で採用しているシングルサインオン(SSO)のユーザー認証システム「Microsoft Entra ID」とも無料で連携ができたことです。「他のオープンソースでは、SSO連携は有料としているものが目立つ中、プリザンターは無料。導入に向けて本格的に検証し、優位性の高さと多さからプリザンターに決めました」(佐藤氏)
 最終的に構築されたシステムは次の通りです。届いたメールはクラウドストレージ(Amazon S3)に保存され、その保存をトリガーにAWS Lambdaがメールファイルを取得。続いてメール本文と添付ファイルをBoxに保存、Boxへのリンクアドレスを取得します。リンクアドレスとメール本文を受け取ったプリザンターが、連携するAIで要約し、メール問合せ案件として保存していくという構成です。
 ユーザー(技師)は、このシステム画面から、メールの要約、Boxに保存されている本文やファイルを確認できます。すなわち、プリザンターをインデックスとして、Boxに保存したメール本文と添付資料にアクセスできるデータベースとなっています。「先行導入した試験グループのあるチームでは、少なく見積もっても月間約18時間の業務削減効果が出ています。さらに、AIによる自動翻訳・要約が整備されたことで、定量的には表せない生産性向上の効果が出ているはずです」と、佐藤氏はそのインパクトを強調します。実際、現場の技師からは「サマリーレポート作成のために分散する関連メールを拾って整理する作業がAI補助で楽になり、体感半分の負担で作成できるようになった」「Boxにメール本文と添付ファイルを保存する手間が無くなった」など、評価する声が続々と上がっています。

システムの発展:ユーザー部門がトラブルなく使いこなし情シスの負荷はほぼゼロ
「入れ物」としてのプリザンターの強みを活かし、データ基盤構築も内製化

PleasanterとArcaを中心にしたデータ基盤-システム連携図

プリザンターはITの専門知識がなくても様々なアプリを直感的に作成できるため、現場で活躍する技師が“自前”で作る動きも広がっています。「問合せ管理にとどまらず、案件に関わる部品表管理、技師の工数管理、案件対応で使用した部材の費用管理など、テーブル(アプリ)の作成と連動を現場主導で行い、事務業務が省力化されています。利用部門が自力でテーブルづくりができる容易さもプリザンターの魅力です」(佐藤氏と同じ情報企画部に所属する宮﨑凌大氏)
 さらに、ユーザー部門がほぼトラブルなしで使い始めたことも特筆すべきポイントとして挙げています。全社のIT戦略立案と管理を担う高山百合子氏(執行役員 情報企画部 部長)はプリザンターを「画面が見やすく、ユーザーが直感的に操作しても破綻しないツール」と評価します。「いくら便利なツールでも、トラブルや問合せ対応の手間で情シスの仕事が増えてしまうのであれば、社内展開には踏み切れない。その点、プリザンターは肌感としてユーザー部門がスムーズに使い始めたのが印象的。システムの導入の可否を決める情シスの人たちが ”採用しても自分たちの負荷にならない” と思えることは重要な観点であり、プリザンターの強みだと思います」(高山氏)
 そして、プリザンターの活用はさらなる発展を見せています。それが、社内のデータ基盤に組み込むことです。現在、社内のデータ利活用は多くの企業の課題となっています。「そのためにはどこにどうやってデータを集約するかが重要です。当社で検討を進めていた時、プリザンターのAIを含む様々な外部サービスとの接続や組込みが容易であるという強みが、データ基盤としても有用なのではないかと考えました」と、高山氏は話します。
 つまり、当初UI(ユーザーインターフェース)目的で利用開始したプリザンターが、今ではデータを蓄積する「基盤」として機能し始めているということです。具体的には、メインのデータレイクを補完するサブのデータ蓄積場としてプリザンターを設置し、互いに連携しながら社内のデータを集約します。これらに、プリザンターで構築した各種アプリやBIツール、AI等を連携し、用途に合わせて情報を活用・アウトプットするデータフローを構築しています。プリザンターをデータの蓄積と利用の両面でフル活用することによって、データ基盤構築の内製化を実現しているのです。

今後の展望:業務上のデータ入力をプリザンターに一本化しクレンジング不要に
AIエージェントと連携させ特定データの抽出や集計・分析も実現へ

データ基盤の構築方法としては、専用のSaaSを活用する手もあります。ただし、専用SaaSの場合、改めてデータのアップロードや成型が必要になる点がネックです。一方、マキタのようにAWSやBox、プリザンターなど従来から利用しているサービスを組合せた構成であれば、プリザンターに入力したデータがシームレスにデータ基盤に連携されます。プリザンターが入力UIとデータ基盤の二つの性質を持つ強みを活かし、思い通りの基盤構築とスピード感のある改良が可能です。「そのデータ基盤を十分に活用して、業務に必要なさまざまなシステムを内製できます。『蓄積も内部機能もUIも作れる』点が内製化に最適で、今後、自社のデータ利活用への大きな強みになります」と宮﨑氏は言います。
 同社では、業務上のデータ入力をプリザンターに一本化することも視野に入れています。例えばExcel入力では表記揺れの統一などデータクレンジングが必要になることが多々ありますが、入力形式を決められるプリザンターでは制御がしやすく、データ品質の劇的な向上が見込めます。「経営方針としてデータの利活用を推進する中、事業や実務の実績値をリアルタイムで知りたいというニーズが高まっています。その意図においてデータクレンジング過程は大きな時間のロスです。解決の最適解は、最初からきれいな状態でデータを貯めること。入力のし易さとデータの質の制御。しかもそうやって貯まったデータはシームレスに各システムに連携され表示できる。これが、データの量や内容を問わず、プリザンターによる入力(蓄積)を推進する理由です」(高山氏)
 さらに、同社ではプリザンターにAIエージェントや機械学習を連携・組込むことで、情報抽出や集計・分析を容易にすることを目指し、既に実装が始まっています。また、BIツールとの連携により、実績値のリアルタイム可視化も進めています。「プリザンターによって開発をショートカットし、スピード化できる仕組みを整えることができた」と佐藤氏、「内製開発自体にAIの支援を活用することで、開発の質も速度も大きく加速しています」と宮﨑氏は話しています。

株式会社マキタ
株式会社マキタ
企業名
株式会社マキタ ホームページ
所在地
香川県高松市朝日町4丁目1-1
設立
1910(明治43)年4月1日
事業
舶用ディーゼルエンジンの製造・販売・アフターサービスを展開。小口径2ストロークディーゼルエンジン市場で世界トップシェアを誇る。経済産業省により2025年度「はばたく中小企業・小規模事業者300社/DX分野」、2020年「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されている。信頼性の高いモノづくりとその後の堅実なアフターサービスに定評がある。従業員数約400名。

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