介護施設で現場に負担をかけてきた時代遅れの事務にメスを入れる
プリザンターで紙の業務を自動化し、一部で“作業ゼロ”も実現へ

株式会社テーリング 取締役
土江 知久 様
  • 紙やExcelによる介護の膨大な事務をどうすれば楽にできるか……探し当てた答えがプリザンター
  • 情報共有、被介護者情報の入力や集計、シフト・勤怠管理に導入し、「便利だ」と現場から喜びの声
  • 年間サポートサービスを契約し、自社では難しいカスタマイズも認定パートナー企業の支援で実装

課題:介護関連の膨大な書類作成で現場から「時間が足りない」と切実な声
紙ベースのシフト管理、勤怠管理に現場から改善の要望が相次ぐ

プリザンターと連携する勤怠登録画面
プリザンターと連携する勤怠登録画面

テーリングは、祖業の下水道関連から事業の多角化を図り、島根県出雲市で自社所有の土地を活用して住宅型有料老人ホームや訪問介護、通所介護の6事業所を運営。今では介護サービスを事業の柱とする中小企業です。介護事業は、介護サービスの利用者が負担する費用と、介護保険から支払われる介護報酬によって成り立っています。
 課題は、介護報酬を受け取るため、計画書作成から実績の記載、数年に1回適切な運用が行われているかを調べる監査のための書類作りなど、ご利用者へのサービス提供以外の事務作業が非常に多いことです。現場では、ひとまず紙に記入し、それをExcelに転記するなど非効率な作業が行われているのが実態でした。
「事務作業に手間がかかり、現場から『時間が足りない』という切実な声を度々耳にしていました」と、会社を継承するため、2020年から同社に役員として加わった土江知久氏は当時の様子を振り返ります。「何か対策を打って現場の事務を早急に効率化して負荷を軽減したいという思いは常にあったのですが、その『何か』が分からず、試行錯誤を重ねる状況でした」(土江氏)
 さらに、現場の従業員にストレスとなっていたのがシフト管理や勤怠管理です。シフト管理は紙ベースで行っており、各事業所の従業員の勤務シフトが共有されていないため人員の過不足が分かりにくい状況であったため、直前になって人手不足が判明するなど、混乱の素となっていました。「使命感から少ない人数で何とかやり切るなど、大きな負荷となっていたのが実情。事前に他の事業所から余剰人員を回すなど最適な配置が難しい状況でした」(土江氏)
 また、勤怠管理も従業員が紙に出勤・退勤時間を記入して押印する昔ながらの手法。1か月分を締めたあと、大変な作業を抱えるのが経理担当者です。約50人分の勤務時間を紙の出勤簿で集計し、同じく紙で提出された遅刻や早退、残業の申請と照らし合わせて確認する必要がありました。出勤記録に記載ミスがあった従業員は紙で再提出させて計算し直すなど手作業の負担が大きい状況でした。

システムの選定:システム選定が行き詰まる中、一縷の望みとなったプリザンター
少し頑張れば、自力で自社に最適な業務アプリが作れると確信

業務の効率化を目指し、ネットの情報を調べながら最適なツールを探索する日々。イメージしたのは、紙やExcelの代替として、介護の事務に関する様々なデータを格納するWebデータベースを構築することです。「Web上にデータをため込む仕組みさえ作ることができれば、業務内容に応じて必要な情報を取り出し活用することで、事務を効率化できると考えた」と、土江氏は話します。しかし、試しに使ってみたツールはどれも満足のいくものではなく、一時は自ら簡易データベースを作ろうとしたもののスキル不足から挫折してしまいます。
 そうした中、一縷の望みとなったのが、「ノーコード・ローコード」というキーワードで検索してたどり着いたプリザンターとの出会いです。「まず、好感を抱いたのが、無料で始められる点と、Webデータベースをカスタマイズするための機能が標準で揃っている点です。試しに古いPCにインストールして懸案だったシフト管理表を作成してみたところ、必要な項目の構成を設定するだけで、苦労せずに簡単に構築することができたのです。操作もサクサクと軽快に動き、直感的にすごくいいと思ったことを今でも覚えています」(土江氏)
 その後、カレンダーやクロス集計、ルックアップなど様々な機能が無料で使えることを知って、土江氏はプリザンター活用の可能性が広がっていったと言います。ネットで情報を深掘りしていくと、標準機能では実現できない要件も、スクリプトで補完すれば実装できると書かれたブログ記事を読み、ますますプリザンターに傾倒。「少し頑張れば、自分でも自社に最適な業務アプリが作れるのではないかと思い、本格的に採用を検討しました。結果、使いこなすことができれば、業務が便利になったり、置き換えたりできると確信し、自社内にサーバーを構築してプリザンターを導入していく決断をしたのです」(土江氏)

システムの導入:入居者のバイタルデータをiPadでプリザンターに直接入力
勤怠管理の業務アプリ導入で経理や現場の当該事務作業がゼロに

プリザンターのダッシュボード画面
プリザンターのダッシュボードも活用中

最初に取り組んだのは、各事業所で紙やExcelに記入していた事故やヒヤリハット(事故一歩手前の出来事)の報告をプリザンターに入力する仕組みの導入です。従来は紙に印刷して各事業所に回覧板で回していましたが、情報共有が遅れ、各従業員の確認も不十分な状態でした。そこで、事案が発生した際には、各事業所に配布されているPCやiPadからプリザンターに直接入力する業務フローに移行。これにより、全事業所に即時に周知し、注意喚起できる仕組みへと改善できたのです。
 また、プリザンター上でのリリース後、瞬く間に活用が広がったものもあります。日々、各従業員が老人ホームで入居者の体温、心拍数、血圧などのバイタルデータを入力する業務アプリです。これまでは毎回紙に記入し、1か月分を集計して平均値などを計算してから状況報告書に落とし込んでおり、現場で時間を要する事務の1つでした。それがiPadで項目を選択して数値を入力するだけで簡単に作業が終わり、集計も自動的に行われるようになり、業務が一気に効率化。「現場の従業員が『これは便利』と、喜んで使うようになり、半月で完全移行に成功しました。こうした目に見えて効率的になる業務アプリによってプリザンターへの好感度が上がり、従業員の間で活用に弾みがつくきっかけになったと思います」(土江氏)
 試作して便利さを実感し、以後、本格運用を始めたプリザンターのシフト管理表も業務改善に大きく貢献しています。今では、日々、全事業所のご利用者と従業員の人数がプリザンター上で瞬時に把握でき、事前に施設間で融通し合うなど最適な人員配置が可能です。「従業員数に余裕があると確認できる場合、私からリーダーに『介護の現場から離れて事務作業を行うように』と的確な指示も出せるようになり、残業時間も削減されています」(土江氏)
 そして、事務作業が劇的に効率化したのが勤怠管理です。従業員の出勤・退勤の記入、遅刻・早退・残業の申請は紙からプリザンターに移行。約50人分の勤務時間の集計、各種申請との照合、シフト表と出勤簿の照合はすべて自動化され、経理担当者やリーダーのアナログ作業が削減されたのです。「毎月、多くの時間を要していた勤怠関連の事務作業が実質ゼロになった計算です。負担が減った分、現場では心理的・物理的に余裕ができ、本来行うべきコア業務により注力できる環境になっている」と、土江氏は言います。

今後の展望:プリザンターの活用を促進できる無料の関連情報を積極的に活用
認定パートナー企業であるCCSの支援を受け、システム構築も

こうして、次々と事務のプリザンター化を果たしている同社ですが、業務アプリによっては、標準機能で実装できないケースもあります。その際、土江氏が頼りにしているのが、ネット上で発信されているカスタマイズのために必要なスクリプトなどの情報です。主に、認定パートナー企業であるシーイーシーカスタマサービス(CCS)のブログを参考にしている他、プリザンターを開発するインプリムが、公式YouTubeチャンネル「プリザンターお悩み解決生配信 プリなま」で月1回配信している動画も欠かさずチェックしているそうです。「いずれもすぐにでも活用できるスクリプトの情報を無料で公開しており、業務アプリの作成に非常に役立っています」(土江氏)。実際、プリザンターに蓄積されたデータをAPI連携によってExcelに自動転記する仕組みを作る際、そうしたスクリプト情報を活用。ご利用者のデータをケアマネジャーに提供したり、掲示用に紙にプリントアウトしたりする際に、Excelはいまだに必要であり、プリザンターとの連携部分は自力でその仕組みを構築しているのです。
 一方、同社ではプリザンターの年間サポートサービス(有償)を契約し、実装したい機能に関する相談やスクリプトのサンプルの提供を受けるなど支援を積極的に活用。さらに、自力では作れない業務アプリをCCSに依頼し、構築してもらう手段も取り入れています。例えば、勤怠管理に関する申請のワークフロー機能や、従業員がパスワードを使わずにIDだけで簡単にプリザンターにログインできる機能などはCCSが実装した部分です。「自力で作れる機能は内製で、難しい部分は認定パートナー企業に依頼して構築できる2つの方法がある点が、プリザンターの良いところです」(土江氏)
 現在、従業員の間ではプリザンターがすっかり定着し、「この業務はプリザンターで作れないのか」と、土江氏に問い合わせが来ることも多いそうです。「現場から出てくるアイデアこそが業務改善には重要。実現するための設計を考えて、できる限りプリザンターによるデジタル化を図っていきたい」と、意欲を語る土江氏。全国に1万弱ある介護施設では、アナログな事務に忙殺されているケースも多く、同社はプリザンター活用による良き“手本”となるに違いありません。
 さらに、採用活動では自社でのプリザンター活用について積極的に発信しており、応募者からは「現場の業務負担を軽減しようとする姿勢に好印象を持った」という声もあり、「前の職場では書類作成がとても面倒だったので、負荷を軽減してもらえるのはうれしい」といった感想も寄せられています。「全国的に人材不足が深刻化する中で、業務改善はもちろんのこと、人材確保にも大きく貢献してくれているプリザンターは、当社に取って非常に心強い存在だと言えるでしょう」と土江氏は締めくくりました。



複合型高齢者ホーム「みずほの家」
導入先
複合型高齢者ホーム みずほの家 ホームページ
運営企業名
株式会社テーリング
所在地
島根県出雲市灘分町239-6
設立
1961年(昭和36年)4月1日
資本金
2000万円
事業
創業以来、下水道の企画や下水道関連建築資材の販売に従事。2013年、急速に進む高齢化社会を支援する介護施設として複合型高齢者ホーム「みずほの家」を開設。現在、住宅型有料老人ホーム2事業所、訪問介護1事業所、通所介護3事業所を運営し、介護事業が売り上げのメインを占める。介護事業に携わる従業員は約50人。

<この事例の担当パートナー>

企業名
株式会社シーイーシーカスタマサービス ホームページ
所在地
神奈川県座間市東原5-1-11 さがみ野システムラボラトリ
設立
2000年8月1日(2012年4月1日 ※新事業体制で営業開始)
資本金
5,000万円
事業
ヘルプデスクを含むIT運用サポートサービス、IT化導入支援サービス、品質支援サービス、中小企業IT化推進サービス
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