- 開発した「インシデントダッシュボード」でビジネス拡大を図るアトミテック
- プリザンターを採用したことで開発工数の大幅削減に成功
- Hinemosの運用管理を支える中核的なソリューションとして期待
株式会社アトミテックについて
山口県宇部市で創業し「Hinemos」を中心にインフラ関連技術に特化している企業
株式会社アトミテック(以下、アトミテック)は、2004年に山口県宇部市で創業し、オープンソースの運用管理ソフトである「Hinemos」を中心にインフラ関連技術に特化して、ビジネスを推進してきた会社です。
今回は、そのアトミテックが、運用管理システムであるHinemosと、WebデータベースPleasanterを連携させることで実現した「インシデントダッシュボード」というソリューションをご紹介します。
Hinemosとは?:「収集・蓄積」「監視・性能」「自動化」といった機能をシームレスに連携し、システムの統合運用管理を実現するHinemos
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)でHinemosの構想が生まれたのは、2004年で当時は企業の大規模システムにおいても多数のIAサーバを使ったWebシステムが一般的となり、そのOSにLinuxが採用されていることを背景に、OSSを活用する機会が増えていました。
多数のIAサーバとLinuxを組み合わせたシステム構築では、ハードウェア、ソフトウェア共に構築時の初期コストの低減というメリットがありましたが、一方でサーバ台数の増加による運用管理のコスト増というデメリットもありましたので、OSSを活用して運用管理でもコスト削減を図りたいというニーズがありました。もちろん、すでに運用管理の現場では、さまざまなOSSを活用して運用管理を実現していましたが、それぞれのOSSは単機能で、組み合わせて活用するにはかなりの技術力が必要で大きな障害となっていました。そのような背景のもと、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が推進する平成16年度オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業のひとつである「分散ファシリティ統合マネージャの開発」の委託を受けてHinemosの開発がスタートしました。
Hinemosは、「収集・蓄積」「監視・性能」「自動化」といった機能をシームレスに連携し、システムの統合運用管理を実現することができます。「収集・蓄積」機能では、運用状況の把握・分析や運用の効率化・自動化などに必要となるあらゆるデータの収集・蓄積管理を実現します。「監視・性能」機能では、リアルタイムなシステム運用状況の監視・視覚化はもちろん、収集データに基づく変化量や将来予測値などの視覚化も実現します。「自動化」では、システム運用に必要となる各種操作の定型化や自動化を実現します。具体的には、OS上の定型的な初期構築や環境変更作業を定型化し一括実行することができます。また、業務自動化という観点では、複数のサーバを跨る一連の処理フローも一元管理することができます。
Hinemosは、すでに80万以上のダウンロード数があり、800以上の実システムで運用されています。2020年8月現在で、バージョン6.2がリリースされています。最新バージョンでは、RPAであるWinActorとの連携も実現しています。
「インシデントダッシュボード」開発について: 自社プロダクトの開発において、オープンソースとして公開されていたプリザンターを採用
Hinemosを自社ビジネスの中核としてきたアトミテックですが、社内でも予てから要望の多かった自社プロダクトの開発に踏み出し、完成したのがインシデントダッシュボードです。
もともとHinemos自体はインシデント管理機能を持たず、ServiceNowやRedmine、Jiraなどインシデントを管理するためのツールとは連携していましたが、どれも高性能であるが故に構築や教育のコストが高く導入の敷居は高いものとなっていました。そのような中で連携ツールの候補に上がったのがオープンソースとして公開されていたWebデータベースのプリザンターです。
プリザンターは、マウス操作で業務アプリを素早く作成できるうえに、豊富なAPIを備えているためローコード開発プラットフォームとしてもカスタマイズの自由度が高く、Webアプリとは思えないほどレンスポンスも高速であることから、インシデントダッシュボードの連携ツールとして採用することになりました。
「インシデントダッシュボード」とは?: Hinemosのインシデント管理に業務固有の情報を紐付けるといった現場の要望にも素早く対応可能
プリザンターとの連携により実現した「インシデントダッシュボード」は、Hinemosが監視中に検出するインシデントを表形式で管理するソフトウェアで、Hinemos本体がインシデントを検出した時に自動的に登録する機能があります。登録する内容には、Hinemosのイベントに含まれる監視ID、ファシリティID、メッセージなどインシデント管理に必要な情報が含まれており、インシデントとHinemosのイベントの紐づけが一目でわかるようになっています。
登録されたインシデントは、ガントチャートやカレンダー表示など目的に応じて表示方法を変更することができるほか、クロス集計やカンバン表示を利用すれば、対応状況を俯瞰して管理することができます。
また、登録されたインシデントは、Webを経由して複数人で管理、編集ができるだけではなく、インシデントに設定された期限に従って、リマインダが実施されます。このリマインダは、メールやSlackなどのチャットを経由して連絡することができ、対応忘れなどを防ぐことができるので、大変有用な機能となっています。このように「インシデントダッシュボード」を活用することで、Hinemosで発生したインシデントを容易に管理することができます。
また、プリザンターの特徴であるノーコードでのカスタマイズにより「インシデントに業務コードを紐付けたい」といったそれぞれの現場固有の要望にも素早く対応することが可能となっています。
インシデントダッシュボードが持つ機能の多くはプリザンターの標準機能や、わずかなカスタマイズで実現することができたため、想定していた開発工期よりも大幅に短い期間でインシデント管理ツールとして十分な機能をスピーディに開発することができました。
今後の展開: Hinemosを活用した運用管理ソリューションの中核を担えるようなソフトウェアを目指す
インシデントダッシュボードを導入いただくことで、Hinemosの持つ運用管理機能のすばらしさに更なる相乗効果を付与できるものと自負しております。
今後はHinemosの開発元であるNTTデータ先端技術様と連携しながらHinemos連携ソリューションとしてプロモーションを行うとともに、日々進化を続けるプリザンターの新機能をインシデントダッシュボードに組み込んでいくことで、インシデント管理だけではなく、タスク管理やスケジュール管理など、Hinemosを活用した運用管理ソリューションの中核を担えるようなソフトウェアになるよう開発を進めていきたいと思います。