- シーイーシーグループの情報システム子会社でプリザンターを約60業務の管理に導入
- 親会社のワークフローや資産管理とプリザンターを連携し、高い評価を得る
- 中堅中小企業、大企業の部門・部署への展開を視野に啓蒙活動にも注力
課題 : 親会社に加え、中堅中小企業に新たなITサービスを模索。
試しにプリザンターを導入し、業務の飛躍的な改善を実現
シーイーシーカスタマサービス(以下、CCSと略す)は、独立系ICT企業のシーイーシー(以下、CECと略す)が100%出資するグループ子会社であり、元はオンサイト運用系業務を中心に事業展開していたグループ企業にサポート系SEを集約し、更にCECの情報システム開発保守部門が加わった会社です。親会社であるCECの社内システム運用や構築支援を事業の1つの大きな柱としながら、それ以外の販路拡大に注力し、特に今後は中堅中小企業をターゲットに、新たなIT支援サービスの展開を目指しています。
そうした中、CCSが着目したのが、様々な管理に関する業務アプリを素早く簡単に作成できる、オープンソースのWebデータベース「プリザンター」です。親会社CECの社内システムを担当する、CCS業務支援事業部 事業部長兼コーポレートITサービス部 部長の田中一生氏は、当初の経緯をこう話します。「CECの社員から寄せられるシステムに関する質問や不具合などの問い合わせ管理はExcelで行ってきましたが、累計2000件を超え、管理が煩雑な状況でした。そこで、私が脱Excelのため、ネット上で探し当てたプリザンターを使ってWebデータベースの構築を推進。問い合わせ内容の管理を行うことから始めました。次にCECグループ全社からシステムに関する要望を受付け、その管理をプリザンターで行い、要望や対応状況、予定等すべての情報をプリザンターで公開し、CECグループの社員がいつでも閲覧できるようにしたのです。管理側は、迅速かつ手軽に構築でき、その後の運用も格段に楽になり、ユーザー側も自身の要望にCCSがどう対応したか簡単に確認できるようになり、状況は飛躍的に改善されました。成果が得られたことから、このプリザンターは他の管理系業務でも使えると判断し、活用に本格的に力を入れ始めたのです」。
導入の経緯: Excelをプリザンターに切り替え、無駄やミスが解消。
約60業務で導入し、年間900時間削減の効率化を達成
最初に着手したのが、CCSの様々な業務に関して、管理をExcelからプリザンターに移行していくことです。例えば、続々と立ち上がるプロジェクトの採番管理を、プリザンターで行うことに変更。従来、社内ネットワークでExcelによって管理していた時は、動作が重く遅い上に、案件の重複記載、変更点の更新漏れなどミスが発生して、管理するマネージャーや購買、経理担当が混乱し、何度も確認や修正依頼のやり取りが生じるなど、問題が起こっていました。「それを、プリザンターに切り替えると、動作は極めて軽くスピーディー。記入のしやすさ、一覧性、検索性の高さから、重複や記載漏れが一切無くなり、現場と経理の無駄なやり取りが解消したのです。ボタン1つで既存案件の内容を複製し、似たような案件、継続案件の登録を簡便にするなどカスタマイズも施し、作業負担の軽減に大きく貢献することができました」(田中氏)。
煩雑になり、ミスが起こりがちな交際費・会議費管理もプリザンターに移行。以前は申請用紙に記入して経理に提出する運用でしたが、申請者は年間予算と残高の確認が困難で、予算がオーバーし、経理から現場への問い合わせも多い状況でした。移行後は申請者がプリザンター上で残高を確認でき、必要事項の記載漏れも解消。経理からの問い合わせは激減していると言います。
また、社員の資格の受験申請にもプリザンターを活用。「それまでは、経理の台帳、資格取得啓発チームの台帳が別々で、受験費用の支払いの有無や資格の合否なども、共有できていない状態でした。ですが、プリザンターによって、資格一覧から費用、合否までを全て一元化して入力、一覧できるように変更。資格一覧は毎年4月の改定に合わせ担当者が更新し、そのメニューから選んで申請するため、資格名の誤りも無くなり、殆どのミスや齟齬が無くなりました」と、田中氏と共にプリザンターの導入を推進する、CCS取締役の木根博治氏は言います。
CCSではその他、様々な申請のルールが記載されている社内規定管理要領の最新版を、全社員がプリザンター上で確認できるようにしたり、営業の商談状況の全てをプリザンターに一元化して一覧できるようにするなど、多くの業務管理を積極的に移行。その数は、実に約60業務に及びます。結果、年間約180件発生する資格申請では、1件当たり20分、年間60時間の作業時間の削減が見込まれ、交際費・会議費は年間約150件の申請がある中、1件10分、年間約25時間の削減が想定されます。60業務それぞれにこうした効果があり、全てを足し合わせれば年間900時間もの効率化が達成されることになります。「但しそうした数字以上に、社員、マネージャーの負荷の軽減、業務の円滑化はあらゆる場面で現れていると考えています。CCSでは、SE以外の管理部門の社員にも手軽に使えるプリザンターがもはや、無くてはならない日常の道具として定着してきています」(木根氏)。
親会社・顧客への展開 : 親会社のワークフローや資産管理と連携し、高評価。
さらに顧客への導入も果たし、事業のスケールが加速
加えて、資産管理システムとプリザンターの連携も実施。「同システムでは資産の内容や価格などの購入歴データのみで、耐用年数や買い替えが必要な時期など、将来のデータは記載できません。そこで、プリザンターと連携し、そういった将来のデータも含めて資産のライフサイクルを管理できるように進化させたのです。例えば、耐用年数が迫っている資産があれば、総務担当者にアラートが届くようになっており、担当者は漏れなく予算取りすることが可能になります。買い替え時期なのに見逃してしまい、予算に反映できなかったというミスを防ぐことにつながっています」(田中氏)。親会社のCECでは、導入の成果に対して評価し、「他の業務もプリザンターに移行したい」というニーズが高まっています。
一方、親会社以外の顧客への展開では、問い合わせフォームから送付されてきた相手の名前、メールアドレス、内容などの項目をプリザンターに自動登録するシステムを自社開発し、販売。既に導入実績があり、メール管理が自動化され、効率化が図れることから複数の企業からも引き合いが来ています。CCSでは自社で積極的に使って、獲得した知見やノウハウを武器に、親会社、さらに顧客にもビジネスを広げていくというプリザンターの有効なスケールの方法を自ら編み出し、事業の成功に向けて、取り組みを強化しているのです。
今後の展開: 汎用業務アプリを開発し、複数社への横展開を模索。
ブログやセミナー、マニュアル本の制作で啓蒙に貢献
CCSは、今後のプリザンター事業の拡大を視野に、3つのポイントにも注力しています。まずは、プリザンターを使った汎用業務アプリの開発です。例えば、プリザンターの登録データがExcelの定型書類に自動転記され、紙で印刷できる「プリザンター to Excel」。「管理はプリザンターで行い、帳票類はExcelのフォーマットと連携し、印刷できるようにすると業務上は便利。アプリを使えば、プリザンター上でボタンをクリックするだけで、納品書などが印刷できるようになります」(田中氏)。こうしたアプリの開発は数件が同時に進行中で、複数社へ横展開することによって、事業のさらなる広がりが見込めます。
次が、プリザンターの効果的な使い方を啓蒙していくセミナーの開催や、ブログの発信です。田中氏が自ら手掛けており、セミナーは不定期に年間複数回開き、ブログはほぼ週1回のハイペースで更新しています。「セミナーやブログをきっかけにビジネスに発展し、新たなアプリの開発につながることもあります。こうした活動は新規顧客開拓に非常に有効です」(田中氏)。
もう1つは、マニュアル本の制作です。田中氏は既に2冊の本を制作、発売しており、プリザンターの導入を進めている企業、あるいは検討している企業にとって、利用価値の高いツールとして一目置かれています。CCSとプリザンターのサポート契約を交わすと、無料で進呈するなど、販促のツールとしても活用しています。
「プリザンターの良い点は、無料で使い始められるオープンソースであること。中小企業はもとより、大企業が部門や部署限定で使うなど、予算がない時でも導入しやすいのが利点です。最初はCCSのようにスモールスタートで使ってみて、成果を残してから全社的に広げたり、困り事が発生した時のために予算を取りサポートを付けて展開するなど順を追って進めていくと、より円滑な導入が可能になると考えています」(田中氏)。